おすすめ本を料理のフルコースに見立てて選ぶ「本のフルコース」。
選者のお好きなテーマで「前菜/スープ/魚料理/肉料理/デザート」の5冊をご紹介!

第343回 JPIC読書アドバイザー・株式会社ロゴスホーム 井上 真梨子さん

5冊で「いただきます!」フルコース本

書店員や出版・書籍関係者が 腕によりをかけて選んだワンテーマ5冊のフルコース。 おすすめ本を料理に見立てて、おすすめの順番に。 好奇心がおどりだす「知」のフルコースを召し上がれ

Vol.105 JPIC読書アドバイザー・株式会社ロゴスホーム 井上 真梨子さん

ロゴスホームのモデルハウス「本と暮らす家」LIBRAでお話をうかがった。

[本日のフルコース] JPIC読書アドバイザーと一緒に時間旅行へ! 「さまざまな日本の表情を楽しむ和風ファンタジー」フルコース

[2017.9.25]

書店ナビ 帯広本社のハウスメーカー、ロゴスホームは、お客様の「何が好き?」に焦点を当て、お客様のライフスタイルを実現する住まいづくりを大切にしています。 モデルハウスもアウトドアなどに特化したユニークな提案で注目を集めており、今年8月からは札幌市北区新琴似「本と暮らす家」をテーマにした札幌LIBRA(リブラ)モデルハウスを公開中! そのアイデアを出したのは、入社6年目のマーケティング部スタッフ井上真梨子さん。小さい頃からの読書好きが高じて、2017年3月には一般財団法人出版文化産業振興財団が認定するJPIC読書アドバイザーの資格を取得。早速、専門知識を活かしつつ社内の設計士やインテリアコーディネーター、外部のブックコーディネーター尾崎実帆子さんと知恵を絞り、札幌LIBRA(リブラ)モデルハウスを完成させました。

リビングとキッチンを仕切る大型本棚やブックカフェのようなカウンターコーナーなど「本と暮らす」工夫が満載のロゴスホーム札幌LIBRA(リブラ)モデルハウス。 見学ご希望の方は札幌市北区新琴似7条6丁目5番30-2へGO! ●札幌良い住宅.jpでも札幌LIBRA(リブラ)モデルハウスと関わった井上さんたちの思いが紹介されています。

書店ナビ さて、その井上さんにお願いして出来上がってきたフルコースは、どれも古(いにしえ)のときを舞台にした物語。時代をさかのぼるタイムトラベル感覚で楽しめる5冊です。
井上 個人的に読書は「旅」のような体験だと考えていて、私たち読者を物語の舞台となった場所にも連れていってくれますし、それが過去のお話であれば、その時代にも連れていってくれるもの。この場所と時間という二重の意味で、私を何度も旅にいざなってくれた大好きな5冊をご紹介します。
[本日のフルコース] JPIC読書アドバイザーと一緒に時間旅行へ! 「さまざまな日本の表情を楽しむ和風ファンタジー」フルコース

前菜 そのテーマの入口となる読みやすい入門書

もう一度デジャ・ヴ 村山由佳  集英社

テレビに映った風景にデジャヴを覚えたのをきっかけに、前世の記憶の中に迷い込んでいく高校生の物語。彼は前世では戦国の忍びの一族。記憶を体験するうちに次第に現世と前世の重なりが見えてきます。 

書店ナビ 第1回ジャンプ小説・ノンフィクション大賞佳作を受賞した本書は、のちに直木賞作家となる村山由佳さんのデビュー作。 井上さんはいつごろ読まれたんですか?
井上 確か大学生のときだったと思います。裏表紙に書かれているあらすじに惹かれました。 主人公である「僕」は現世と前世、二つの時代を行き来しながら、さまざまな苦難にぶつかります。それでも前向きな彼の生き方が、とてもさわやかで清々しい。個人的に大好きな文章は、ラストで描かれる「僕」の思い。「出会いは運命かもしれない。だが、…」この続きはぜひ本書でご確認ください!

スープ 興味や好奇心がふくらんでいくおもしろ本

ぼくの・稲荷山戦記     たつみや章  講談社

代々、稲荷山神社の巫女を務めるマモルの家に下宿人としてやってきた美青年の守山さん。実は守山さんは神様のお使いのきつね。レジャーランド開発のために壊されようとする山と古墳を守ろうと立ち向かう2人のお話です。

井上 今日持ってきたのは文庫版ですが、私が小学生のとき、司書さんに勧められて読んだのは、林静一さんがイラストを描いたハードカバーのほう。表紙のかわいらしいイラストがお気に入りでした。
書店ナビ 本書は、第32回講談社児童文学新人賞受賞作。自然破壊という深刻な題材ですが、マモルくんがいわゆる優等生ではなく、「木の葉でお金作ってさ、山をまるごと買っちゃうなんて手は、だめなのかなあ」なんて軽口をたたくところが好きでした。
井上 わかります(笑)。物語にも全然お説教じみたところがなくて、自然に対する尊敬の気持ちが素直に湧いてきます。 人々が神様の存在を当たりまえのように信じていた時代に思いをはせつつ、一方で現代に生きる私たちは自然とどう折り合いをつけていけばいいのか。それを考えるとき、この本を読むと少し強くなれるような気持ちになります。  

魚料理 このテーマにはハズせない《王道》をいただく

狐笛のかなた 上橋菜穂子  新潮社 人の心を聴く力を持つ女の子・小夜と、術者である「主」の命令を叶えるために生きる霊狐の野火。ふたりはそれぞれに孤独を抱えながらも成長し、やがて隣り合う二つの国の争いに巻き込まれていきます。

書店ナビ 獣の奏者』や『守り人』シリーズでおなじみのファンタジー作家、上橋菜穂子(うえはし・なほこ)さんの中期の代表作。第42回野間児童文芸賞も受賞しました。
井上 これは一般論ですが、はじめは小さな意地がきっかけでも、恨みは恨みを呼んで、さらに周囲の人をも巻き込んでどんどん大きくなります。 それを前提に本書を読むと、人々の欲や憎しみに巻き込まれながらも、自分の大切なものを守り、恨みの連鎖を断ち切ろうとする小夜と野火の生き方に、本当の強さや幸せは何なのかと考えさせられます。 史実を離れ、時間も場所も特定できない設定ですが、だからこそ想像のしがいがある場所・時間のなかで進んでいく愛と勇気の物語です。 

舞台となる湯来ノ国,春名ノ国の地形も想像力をふくらませる手助けになる。

肉料理 がっつりこってり。読みごたえのある決定本

白鳥異伝 荻原規子  徳間書店 ヤマトタケル伝説を下敷きにした和風ファンタジー。双子のように育った男勝りの遠子(とおこ)と、少し頼りない小倶那(おぐな)。小倶那は自分と瓜二つの皇子との出会いがきっかけで都に上り、やがて故郷に災いをもたらす力を持ってしまいます。遠子はそんな小倶那を滅ぼすため、対抗する力を持つ勾玉を集める旅に出る…。

書店ナビ 《力を持つ玉を集める旅に出る》という設定は、古くは『里見八犬伝』から現代の『ドラゴンボール』まで、日本人にはおなじみの設定ですが、本書は遠子が幼なじみの小倶那を倒すために玉を集めるというところが、とてもドラマチックです。
井上 その玉探しの旅の情景が目に浮かぶようで、世界が広がる一冊です。遠子と小倶那それぞれの視点から描かれる素直な心情が、どちらにも感情移入できて切なくなります。 物語の続きが読みたくて、ページをめくる手が止まらなくなるハラハラドキドキの物語。1ページ1ページが濃厚で、まさに《がっつりこってり》。小学生のときに一気読みして以来、約20年間読み続けている愛読書、いつ読んでも夢中になります!

デザート スイーツでコースの余韻を楽しんで

さくらの丘で 小路幸也  祥伝社
亡くなった祖母から小さな鍵と洋館を譲られた孫娘。幼い頃から聞いてきた、おばあちゃんの思い出がつまっている洋館には実は隠された秘密があり、そこに封印されていた人々の想いをほどいていくお話です。

井上 亡くなった祖母から小さな鍵と洋館を譲られた孫娘。幼い頃から聞いてきた、おばあちゃんの思い出がつまっている洋館には実は隠された秘密があり、そこに封印されていた人々の想いをほどいていくお話です。

一時期「読書好きイコール孤独なひと?」という不安にかられ、本から離れた時期もあったが、いまはあらためて読書の楽しさに開眼。「誰でも気軽に本に親しんでほしい」という思いから、「本と暮らす家」をテーマにしたロゴスホームのモデルハウスLIBRA が誕生した。

ごちそうさまトーク  「読書のイメージが変わった」先輩社員

書店ナビ 井上さん発案の「本と暮らす家」をテーマにした札幌LIBRA(リブラ)モデルハウスが好評のロゴスホームさん。社員のアイデアをすみやかに形にする体制が整っているんですね。
井上 自分の案を採用してもらい、実際に形になっていく過程はとても楽しかったです。 先輩が「これまで本は勉強をするために読むものだと思っていたけれど、LIBRAを見ていると読んでみたくなった。なにかおすすめ本ある?」と言ってくれたときは、とてもうれしかったです。
書店ナビ LIBRA のように読書は誰がいつ読んでも旅行と同じような冒険を楽しめることを教えてくれたフルコース、ごちそうさまでした!

札幌LIBRA(リブラ)モデルハウス お問い合わせ:札幌北ショールーム TEL011-775-4126 ●井上真梨子(いのうえ・まりこ)さん 札幌市生まれ。藤女子大学文学部日本語・日本文学科卒業後、2012年4月に株式会社ロゴスホームに新卒入社。マーケティング部広告戦略課主任。JPIC読書アドバイザー。

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