5冊で「いただきます!」フルコース本 北海道書店ナビ

書店員や出版・書籍関係者が腕によりをかけて選んだワンテーマ5冊のフルコース。おすすめ本を料理に見立てて、おすすめの順番に。好奇心がおどりだす「知」のフルコースを召し上がれ

第335回 フルコースワークショップ 札幌新陽高校後編

1年1組の24人がペアを組み、慣れない取材に大奮闘!

[フルコース初のワークショップ開催]

札幌新陽高校1年1組がクラスメートを取材!

24人×3冊を探る16歳のフルコース

[2017.7.31]

フルコースワークショップ 札幌新陽高校編・前編はこちらから!

取材・原稿はiPad を使って、新陽高校ICT授業

本を料理に見立てて選書する「本のフルコース」初の高校生を対象としたワークショップ。今年6月、全4回に渡って、札幌新陽高校1年1組24人に挑戦してもらいました。

初回では、この企画の発端となった札幌新陽高校の荒井優(あらい・ゆたか)校長のフルコースをお手本に企画を説明。 ペアを組んで、取材する・される両方を経験し、さらにはフルコースを聞き取った相手の回答を原稿にまとめるところまでを実践するという、ハードルの高い授業に皆が真剣に取り組んでくれました。

荒井校長が進める「本気で挑戦する人の母校」となるための改革は、北海道初の女子硬式野球部の創設など教室の内外で見られ、今年入学した1年生全員にiPadを支給したのも、その一環です。

今回のフルコース取材でもiPadが大活躍! 「えっと、じゃあ、フルコースのテーマから教えて?」「前菜本は?」「どうしてその本を知りましたか?」「どこが好き?」 クラスメートに聞き取りしながら、テキストソフトに直接入力していく生徒たち。一部にはノートに書きとめる派もいて、各自がやりやすいスタイルを自分で決めていきました。

「"なんでこの本を選んだか?"……うーーーーーーーーーーーん……なんとなく?」「それじゃあ、書けないよーー!」なんていうやりとりが出てくるのは、もちろん、こちらも想定内。 「このコミック、アニメ化は見た?どっちが好きだった?」と横から口をはさむと、「…アニメかな。動きがあったから」とぽつりぽつり具体的なことばが出てきます。 相手がことばに詰まったときは質問を変えてみるのも聞き手のワザ。皆で試行錯誤しながら、「質問すること」を体験してもらいます。

「みんな、相手の写真や本の撮影もしてください。基本フォーマットはないから、テキストと画像を自由にレイアウトしてみて」と担任の髙橋励起先生が呼びかけると、撮影はお手のもの! 皆が(特に女子が)イキイキとし出しましたが、でもあんまり撮ったクラスメートを"盛る"のに夢中になっちゃうと時間がなくなっちゃいますよ…。 「はい、そろそろ交代しましょうか!」 2回目・3回目の授業をフルに使って、前菜本・メイン本・デザート本の3冊について聞き出すフルコースを完成させていきました。

若い皆さんに伝えたい!ワークショップ3つの意図

最終回の4回目は、講評および表彰式編。 皆にざっくばらんに感想を聞くと、やはり「質問するのが難しかった!」という声が一番にあがり、出来上がったフルコースを見てもその苦労のあとが見てとれました。

それではなぜ、このワークショップを札幌新陽高校1年1組の皆さんにやってほしかったのか。伝えたいメッセージは大きく3つありました。

1)取材はひとりではできない

相手との協力関係を築いてはじめて「聞けてよかった」「話せて楽しかった」という体験が得られます。 取材に限らず、自分の行動ひとつで相手の行動も鏡のように変わっていくもの。ちょっとムズカシかったかもしれないけれど、フルコース取材を通して、そのことを体験してほしいと願っていました。

2)正しい&具体的な情報を載せる

相手が言ってもいないことを書いたりするのは、記事の信憑性を落とします。「小さいころから何度も読んだ」が「5歳のときに初めて読んで、もう50回近く読み直している」になると、より内容がリアルに感じられ、読者の心に響きます。

3)読者=第三者のことを思って書く

原稿を書くにあたり、相手が言ったことをそのまま入力するのではなく、いったん自分の中で「理解すること」。読者にわかりやすく書くには、まず自分自身が理解することが肝心。「どう書いたら読者もわかってくれるだろう」と意識すれば、原稿の完成度が上がります。

それにしても、あらためて提出されたフルコースを見てみると、24人×3冊=72冊の本が登場しましたが、なんと1冊もカブりませんでした! フルコースのテーマも十人十色で、本当に「人の数だけフルコースがある」ことを、1年1組の皆さんに教えていただきました。

さあ、最後はお待ちかねの表彰式!  各賞の発表および全フルコースを掲載します。

●ペアで表彰! 荒井優校長賞

本1冊読み終えるまで半年はかかる遅読家 湊 陽愛が選ぶ入門ミステリーフルコース 取材者:新飯田姫那 回答者:湊陽愛


「仲間の大切さがわかる本のフルコース」 取材者:湊陽愛 回答者:新飯田姫那 


[荒井校長講評]

表彰ポイントは、取材対象者と本の紹介を通じてコミュニケーションを取り、その対象者の個性を表現しようとしているところ。新飯田さんは、最後にお礼を載せているところも、取材者としての姿勢が現れていますね。

[受賞者コメント]

新飯田姫那

私の書いたフルコースが、荒井優賞に選ばれてとても嬉しいです!文章を書くのはあまり得意ではないのですが、楽しみながら作り上げることが出来ました。ですが、誰かに何かをインタビューしたりされたり、というのが初めてだったので不安もありましたが良い経験になりました。自分の何かを紹介したり相手のお話を上手くまとめるのに少し苦戦しましたが、自分で納得のいくカタチにまとめられたので良かったです。雑誌の編集者さんやライターさんは沢山の記事を書いていて、私は一つ作り上げるのも大変だったのに、凄いと思いました。機会があれば、また挑戦してみたいです。

湊 陽愛

普段からあまり本の紹介をしたり、友達に勧める機会がなかったので、本の紹介をするのは難しかったですが、ペアの新井田さんが色々と質問して掘り出してくれたのでとても話しやすく、改めてその本の良さを実感でき、とても楽しかったです! 新井田さんも紹介する本の魅力を熱く語ってくれてとても盛り上がり、2人で楽しく作れたので、それが荒井校長賞という形で評価していただけてとても嬉しいです! ありがとうございました!!

●ペアで表彰! 担任の髙橋励起先生賞

あなたの知らない童話フルコース 取材者:飯島華美 回答者:本田美月 


映画化された有川浩の小説フルコース 取材者:本田美月 回答者:飯島華美


[髙橋先生講評]

受賞した2人は、相手を理解しようという想いが伝わったペアでした。そして取材した内容を第三者に伝えるという部分でも、この2人はよく考えていたと思います。

[受賞者コメント]

飯島華美

普段からいろんなジャンルの本に手を出さない読み方をしていたので、本を選ぶのが難しかったです。 そしてペアになった相手のフルコースは、自分ではまったく読まないようなジャンルの本ばかりで、相手にどう質問したらいいのか分からずに困ってしまいました。 ですが、相手の好きな話について深く質問したりしてたくさんの話を聞くことが出来ました! 最後には、髙橋励起賞という賞をいただけて本当に嬉しかったです!! 質問からレポートまで頑張って良かったなと思います。 今回、この本のフルコースが出来て楽しかったです!!!

本田美月

初めてフルコースを作ってみて、相手からどんな風に質問の答えを聞き出したら良いのか、どんな風にまとめれば良いのかなどたくさん悩みました。 でも、インタビューをしている時は楽しく聞くことができました。 本のことを聞いているのに、相手の人間性が分かってきて今回の授業の凄さを感じました。 受賞してとても嬉しかったです。。 今回学んだことをこれからは役立ていきたいと思います!

●ペアで表彰! 教育実習の沼田優太郎先生賞

札幌新陽高校 平澤柚月が選ぶ"必ず好きになる青春野球本フルコース" 取材者:河野朱音 回答者:平澤柚月


札幌新陽高校 河野朱音が選ぶ「読んだら恋したくなる本」フルコース 取材者:平澤柚月 回答者:河野朱音


[沼田先生講評]

二人とも野球部なのではじめから意気投合しているようでしたね。原稿の見せ方がとってもキャッチーでした。僕が新陽高校にいた頃はこういう授業が受けられるなんて思ってもいませんでした。皆さんがうらやましいです。

「自分がフルコースを作るとしたら?自己啓発本かなあ」と沼田先生

[受賞者コメント]

河野朱音

テーマを決めるところからわからないことだらけで大変だったけれど、結果的に賞をもらえて 嬉しかったです。

平澤柚月

初めての取り組みで少し戸惑ったけど、自分なりにパワーポイントにまとめて沼田先生から 賞をもらえたのでとても嬉しかったです。今後の活動にも生かしていければと思います。

●ペアで表彰!from北海道書店ナビ グッドクエスチョン賞

鉄道についての本 取材者:白田あかり 回答者:大竹仁


ファンタジー本 大竹仁 回答者:白田あかり


[講評]

二人ともおそらく「自分では読まない」ジャンルを前にして、とてもがんばってくれました。特に大竹さんの鉄道好きの理由に迫った白田さんの質問とその回答が具体的ですばらしかったです。

[受賞者コメント]

白田あかり

今回のように自分の何かを紹介する機会はあまりなかったのでとても新鮮でした。慣れない中で必死に書いたフルコースが受賞したことはとても嬉しかったです。またこのような機会があれば挑戦してみたいです。

大竹仁

色々な作品を知ることができて良かったです。 ぜんぜんジャンルの違う本で質問するのも結構難しかったですが、この賞を受賞できて良かったです

●個人で表彰!from北海道書店ナビ 個性を出したで賞

話の先が読めない?!『なんども読み返してみたくなる』フルコース 取材者:角泉美 回答者:櫻井心


[講評]

回答者である櫻井さんの話を上手にまとめていた角さん。クラス中一人だけ《編集者から》というコーナーを作り、自分の感想を織り交ぜた読者への丁寧な呼びかけが二重マルでした

[受賞者コメント]

角泉美

もらえると思っていなかった賞をもらえたことがすごく嬉しいです。この授業を通して本の楽しさを改めて知ったので、今後もたくさんの本を読み読書に励んで行きたいです!

●個人で表彰!from北海道書店ナビ 大人過ぎで賞

~松村有紗の「勉強がしたくなる」フルコース~ 取材者:大林美華 回答者:松村有紗


[講評]

なぜ大林さんを選んだのかは、最後の「フルコースの感想」を読んでいただいたら一目瞭然(笑)。こちらの企画意図をよく理解して、取材を"味わって"くれました。オトナ目線に感心します。

[受賞者コメント]

大林美華

私が書いたフルコースは、編集者になりきりたくさんの人に私の取材したフルコースがたくさんの人に見られるという気持ちを持って、読者の人には読みやすい記事を届けフルコースの本を読みたいと思ってもらえるように、取材させていただいた方には感謝の気持ちと一人でも多くの人の目にとまるような記事を書く。という目標を持って挑みました。 その気持ちが伝わったのか今回、大人すぎで賞をいただけてとても嬉しいです。ありがとうございます。

個性いろいろ! 札幌新陽高校1年1組みなさんのフルコース

※2名、不慮のデータ破損等のため残念ながら未掲載ですが、4回ともがんばってくれたことに心から感謝しています。 ※フルコース名をクリックすると、別ページが開きます。

取材者:池田涼香回答者:鈴木将史 異世界と繋がるフルコース

取材者:鈴木将史 回答者:池田涼香 《バスケ本フルコース》

取材者:及川詩織 回答者:支倉流空  『中二まで本を読んだことがない人が選んだattack on titan』

取材者:支倉流空 回答者:及川詩織  角川ビーンズ文庫、全て歌から来た小説。恋愛フルコース

取材者:及川のえ 回答者:米田もも 動物を好きになるフルコース

取材者:米田もも 回答者:及川のえ 鳥の魅力に気がつく!!!フルコース

取材者:櫻井心 回答者:角泉美 【何度読んでも泣ける本。】

取材者:西村夢羽 回答者:鈴木悠樹斗 野球フルコース本

取材者:宗片美月 回答者:高松直輝  高松直輝が選んだ【読み始めたら止まらなくなる小説のフルコース】

取材者:高松直輝 回答者:宗片美月  「野球を見るのが楽しくなる」フルコース

取材者:松村有紗 回答者:大林美華  「終わらない」フルコース

長谷川直也 回答者:細川裕人 星新一のショートショートフルコース

フルコースワークショップに《本気》で挑戦してくれた札幌新陽高校1年1組の皆さん、髙橋先生、荒井校長、ありがとうございました!

●札幌新陽高校 http://sapporoshinyo-h.ed.jp/

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