おすすめ本を料理のフルコースに見立てて選ぶ「本のフルコース」。
選者のお好きなテーマで「前菜/スープ/魚料理/肉料理/デザート」の5冊をご紹介!

第470回 株式会社フォーシーズンズ プロダクトマネージャー 沼田大資さん

Vol.176 株式会社フォーシーズンズ プロダクトマネージャー 沼田大資さん

沼田大資さん

手に持っているのは「札幌スタイル認証製品カタログ2020」。沼田さんも着用している防水・撥水性に優れたセットアップが初認証された。

[本日のフルコース]
覚醒は天秤座の聖衣(クロス)から!
「ぼくのファッションLIFEをかたどってくれた本」フルコース

[2020.4.6]

覚醒は天秤座の聖衣(クロス)から! 「ぼくのファッションLIFEをかたどってくれた本」フルコース

書店ナビ札幌市が認証する地域ブランド「札幌スタイル」は、2020年のカタログを見ると現在70ブランド。
「ファッション」の項目だけでも帽子やバッグ、ストール、アクセサリーなど多岐にわたっていますが、そのなかでもひときわ目立っているのが昨年認証されたばかりのIMVER(インヴェル)のメンズウエア。
11年間スノーボードウェアを作り続けてきた地元のメーカー、株式会社フォーシーズンが新たに開発した「都市生活に使えるレインウェア」です。

 

雪国にはうれしい防水で蒸れにくい素材。生地も軽く「これを着て雪かきができる」くらい伸縮性もいい。自転車の泥はねも水で流すと落ちてくれる。

書店ナビ札幌スタイルが札幌市図書・情報館とコラボした選書企画「札幌スタイル つくり手たちのMyBestBook」を書店ナビで紹介した縁で、株式会社フォーシーズンのプロダクトマネージャー沼田大資さんにご登場いただいています。

第464回 「札幌スタイル」つくり手たちのMyBestBook - 5冊で「いただきます!」フルコース本 北海道書店ナビ

www.syoten-navi.com

沼田自分は特に読書家だというわけではないので恐縮ですが、中学時代からファッションに目覚めて20代、30代、そして今にいたるまでいつもチェックしてきたファッション誌でこれまでの道のりを振り返ってみました。

[本日のフルコース]
覚醒は天秤座の聖衣(クロス)から!
「ぼくのファッションLIFEをかたどってくれた本」フルコース

前菜 そのテーマの導入となる読みやすい入門書

聖闘士星矢 全15巻セット

聖闘士星矢 全15巻セット
車田正美  集英社
1985年に少年ジャンプで連載スタート。遠く神話の時代から女神アテナに仕えてきた聖闘士(セイント)たちが各自の守護星座を表す防具、聖衣(クロス)をまとって悪と闘う!アニメ、ゲームにもなった車田正美の代表作。

沼田うちは両親と3つ下の弟がいるんですが、子どものころの思い出といえば親父との豆まき勝負。初めはダンボールで剣と楯を作って闘ってたんですが、小学2~3年生のころからだんだんジャンプで読んだ聖闘士星矢の聖衣を手作りしてバトルするようになりました。

書店ナビ沼田さんは1978年生まれ。まさに聖闘士星矢が始まったばかり、一番勢いのある時期の読者ですね。

沼田ええ、9月生まれのぼくは当然、天秤座の童虎をモデルにして12の武器も全部作ったんですけど、全部装備したら動けなくなりました(笑)。
今考えると、このとき子どもながらにどうやったら体にフィットするかとか動きやすいかを考えてダンボールを切り貼りしていたのは、実は洋服のパターンづくりとまったく同じことなんですよね!
今に通じるものづくりの土台がここにあったんだなあと実感しています。

スープ 興味や好奇心がふくらんでいくおもしろ本

Hot-dog PRESS

Hot-dog PRESS
講談社
1979年から2004年まで25年間にわたり刊行されていた若い男性向け情報誌『Hot-dog PRESS』が現在はNTTドコモの「dマガジン(R)」で配信中。「40代オヤジと大人女子のための本音マガジン」として生まれ変わった。

沼田ぼくは苫小牧の田舎で育ちましたから、小学生時代は聖闘士星矢の聖衣は作っても普段着るものには無頓着な子どもだったんです。
それがある日、いつもどおり紫色のKappaのジャージを着て街で同級生の女子とすれ違ったら「街中でジャージって」ってバカにされました。

書店ナビうわあ、女子の一言。強烈です…。

沼田トラウマです(笑)。「ジャージで何がワルイんだ!」と思いつつ、やっぱり男の子だから女子にバカにされたことが猛烈に恥ずかしくて。
そこで初めて手に取ったファッション誌が『Hot-dog PRESS』でした。刺激の強い記事もありましたけどファッション初心者にはちょうどよかったのかもしれません。

魚料理 このテーマにはハズせない《王道》をいただく

MEN'S NON-NO

MEN'S NON-NO
集英社
1986年5月9日に女性ファッション誌『non-no』の男性版として創刊した月刊誌。現在は雑誌とデジタル版両方で展開中。創刊号の表紙は阿部寛が飾った。創刊以来毎年、専属モデルオーディションが行われている。

沼田ぼくが中学に入ったころの90年代はBボーイ系のだぼっとしたバギーパンツとかが流行っていたんですけど、身長もそんなに高くない細身の自分にはどうもそれがしっくりこなかった。もっとフィット感があるほうが好きだったんです。
なので『MEN'S NON-NO』で武田真治さんやいしだ壱成さんたち中性的な男性モデルが女性ブランドを着ているのを見たときは「えっ、男も着ていいんだ!」と驚いたし、すごく勇気づけられました。
このころからコンビニで手に入るほぼ全てのファッション誌を買いあさるようになりました。

三浦くんが好きでした

中学時代はバスケ部でポジションはガード。「『スラムダンク』より『DEAR BOYS』派で、三浦くんが好きでした」

肉料理 がっつりこってり。読みごたえのある決定本

FN=ファッションニュース

FN=ファッションニュース
INFASパブリケーションズ
1989年に発刊し2016年1月号が最終号(Amazonで古本は入手可能)。エッジのきいた世界のファッション情報を発信。ミラノ・パリ・NY・ロンドンの4大コレクションやビッグメゾンの動向を日本の読者はむさぼるように読んだ。

書店ナビ高校を卒業した沼田さんは、宮島学園北海道ファッション専門学校に入学。学内のデザインコンテストで見事1位に輝いたこともあるとか。

沼田そのときはスーツを作ったんですよね。この時期はもう、どっぷりファッションにハマっていてFNや繊研新聞、テレビでは「ファッション通信」でつねに最先端の情報を追いかけていました。
またちょうど、世界的にデザイナーの交代劇が続いた時代だったのですごく面白かったんですよね。
トム・フォードがグッチを再生し、ジョン・ガリアーノはジバンシーからクリスチャン・ディオールに行き、そのジョン・ガリーアノのアシスタントだったアレキサンダー・マックィーンがジバンシーの後を引継ぎ、師匠に負けない世界観を展開したとか…。
ビッグメゾンが世界で長く愛される理由や時代をとらえる力、ファッションの本質について考えていくようになりました。

デザート スイーツでコースの余韻を楽しんで

WWD JAPAN

WWD JAPAN
INFASパブリケーションズ
NYで100年以上続くファッション業界メディアの日本版として1979年に創刊された週刊誌。読者の半数以上がファッション業界に所属し、首都圏在住者が7割近くという圧倒的な業界支持率を誇る。

書店ナビ専門学校を卒業した沼田さんはその後、毛皮専門店やデニムショップ、紳士服専門店等に就職。一時は「サービスをしっかり学びたいから」と3年間イタリアンレストランに勤めたこともあるとは驚きです。
フォーシーズンズさんに転職したきっかけは何だったんですか?

沼田ロードランナー時代の知人が当社の代表である山下勝彦の友人で、ぼくのことを紹介してくれて社長から声をかけてもらいました。
自分たちで作って販売までできるところが魅力で、6年前に転職して現在に至ります。

書店ナビプロダクトマネージャーのお仕事内容は?

沼田一言で言うと「何でも屋さん」。社内デザイナーのアイデアを聞いて、それを実現するために細かく詰めていくのがぼくの仕事です。
海外の縫製スタッフさんたちに説明するときは日本から折り紙を持っていってホチキスとハサミで「ほら、ここをカットしてここをこう縫えばできるよね」なんて工作もします(笑)。
もちろん店頭でお客様と直接お話しできるのも大好きです。

ロードランナー時代は1人ひとりの顧客を念頭に置いた丁寧な積極で店・個人ともに社内1位の売上を達成。

テイラードジャケットの内ポケットは出し入れしやすい縦の切り込み

IMVERのテイラードジャケットの内ポケットは出し入れしやすい縦の切り込み。袖の飾りボタンもわずか1mmが重なるデザイン。ディテールを知れば知るほど欲しくなる。

沼田『WWD JAPAN』は記事の切り口が多面的で勉強になりますし、ストーリー性もあるので読んでいてとても面白い。ビジネスキュレーションサイト『NEWSPICS』でも取り上げられるくらいですから、やはり鮮度がいいと感じます。

ごちそうさまトーク 「オヤジ、センスいい服持ってたんだ」

書店ナビFourSeasonsDesignLab.さんではスノーボードウェアの「43DEGREES」やゴルフウェアの「unitement」など着たいシーンごとにブランドを展開。最後にあらためて札幌スタイルに認証されたタウンウェア「IMVER」のピーアールをお願いします。

岩佐ビル1階の店頭では機能性とファッションが両立するバッグ類も充実。

岩佐ビル1階の店頭では機能性とファッションが両立するバッグ類も充実。

沼田ぼくたちが目指しているのは買ってくださったお客様にたっぷり愛情を注いでもらい、その一着を長く着たおしていただくこと。
素材もデザインも時代を越えていけるクオリティーに徹底的にこだわっているので、いつか息子さんがお父さんのクローゼットを開けたときに「オヤジ、センスいい服持ってたんだ」と言われるような一着をお届けてしているつもりです。
自転車に乗られるお客様のアイデアを反映させたモッズコートも作りました。いまのこの事態が落ちついたときはどうぞお気軽に店頭にいらしてください。お待ちしています。

書店ナビ沼田さんの生い立ちと一緒にファッション誌の歩みも懐かしく振り返ったフルコース、ごちそうさまでした!

FourSeasonsDesignLab.

store.4ss.jp

沼田大資(ぬまた・だいすけ)さん

北海道苫小牧市生まれ。宮島学園北海道ファッション専門学校卒業後、毛皮専門店や紳士服、ジーンズショップ、イタリアンレストラン等を経て2014年に株式会社フォーシーズンズに入社。プロダクトマネージャー。

高校時代、学校をサボって 札幌のBEAMSとか行ってました。

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