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第462回 《あなたの「好き」がまちづくりに》講座レポート

ブックフェスとは

[イベントレポート ]
さっぽろ市民カレッジ2020冬期
北海道ブックフェスで始める参加型まちづくり

[2020.2.17]

まちづくりに関心を持つ受講生をやさしくガイダンス

2020年2月4日、札幌市生涯学習センターが主催するさっぽろ市民カレッジのまちづくり講座が、札幌市図書・情報館2階のSCARTSで開かれた。講座名は《あなたの「好き」がまちづくりに~まちを楽しむ 実践と見つけ方~》。
まちづくり構想の策定支援や市民向けワークショップを行う株式会社石塚計画デザイン事務所の蔵田恵さんがコーディネーターを務める3回シリーズだ。

講師は1回目が親子のものづくりイベントを企画する「ツクリテ工房」、2回目は「北海道野菜を盛りあげ隊」、そして3回目に毎年9月に開催される「北海道ブックフェス」実行委員長の尾崎実帆子さんが登場した。

「まちづくりに参加したいけれど、具体的に何を糸口にしたらいいのかわからない」――そんな受講者の疑問に答える形で、本でつながるイベント「北海道ブックフェス」の全容を紹介した。

第244回 ブックコーディネーター 尾崎 実帆子さん - 5冊で「いただきます!」フルコース本 北海道書店ナビ

www.syoten-navi.com

講座の導入ではコーディネーターの蔵田さんがまちづくりに参加する心構えや考え方を解説した。
「まちづくりは特別なことではなく、自分との関わりを探すところから始まります。そのひとつが自分の《好き》を考えてみること。どんな《好き》を活かせるか、物語をつくってみませんか?」と受講者に呼びかけた。

活かしたい「好き」を見つけるために、人生のターニングポイントや今の自分を構成するもの、大切にしていることなどを整理することも勧める蔵田さん(写真右)。

「もとは私も一人の古本市参加者でした」

「まちと本で遊ぶ」と題した「北海道ブックフェス」は2020年9月で十周年を迎える。イベントの柱は一人からでも参加できる古本市と書店以外のカフェやショップを対象とする「ミセナカ書店」。そこに朗読会やビブリオバトルなど各自の持込み企画が付随し、9月の北海道を本の力で盛り上げていく。

北海道ブックフェス

hokkaidobookfes.wixsite.com

それぞれの詳細は上記の公式サイトを参照していただきたいが、ここでのポイントはまず、尾崎さん自身が最初は一参加者であったことだ。
「書店以外の場所で本を売る《ブックコーディネーター》としてやっていこうと決めた」2012年に古本市に出店した(このとき開催地はまだ札幌のみ。イベント名も「札幌ブックフェス」だったそう)。
そこから初代の実行委員長であった堀直人さんと意気投合し、あれよあれよという間に主催する側になっていったという。

この札幌の盛り上がりを見て、じきに江別や石狩、恵庭などでも本好き有志がそれぞれイベントを企画するようになり、2014年から名称を「北海道ブックフェス」に変更。
ここで二つ目のポイントは、北海道ブックフェスの実働スタッフは堀委員長と尾崎副委員長の二人きり(尾崎さんは2015年から二代目委員長を引き継いだ)。
札幌以外のイベントは全て地元の有志主催であり、北海道ブックフェスはその枠組みを提供する「枕詞みたいなものです」と尾崎さんはいう。

イベントに関わる諸経費の確保や当日の進行も、もちろん主催者次第。このゆるやかさがかえって外部から人を入りやすくしているところが実にユニークなのである。

札幌のブックフェスに出店した(車で片道5時間かけて!)斜里町の人たちが刺激を受け、その後地元で「知床ワンデイブックフェス」を開催したのも「自分たちにもできそう」という親近感を持てたからなのではないか。
「北海道ブックフェス」という枕詞を得ると、皆ができることをできる範囲でしようと動き出す。なんとも不思議な力があるようだ。

「がんばらない」楽しさが共感を集めて十周年

まちづくりイベント系には「本業のかたわらやっているのでこれ以上はがんばれない」主催者が力尽きてやめていくことも少なくないが、北海道ブックフェスは「がんばらない」等身大の姿勢がモットーだ。

当初はミセナカ書店の参加店を増やしたり、集客のフライヤー作りに力を入れた時期もあったが、「そのうち、こちらにマンパワーがないので"配れないフライヤーは作っても意味が無い"ということに気づき、今は情報発信はFacebookとTwitterに絞り込んでいます」

石狩市厚田の望来地区でやったときは、関係者以外の来場者は片手に満たないほど。だがわざわざ高速バスに乗って来てくれた人もいて、主催者側は大感激。「忘れられない会でした」。

ブックコーディネーターとして紹介された尾崎さんの新聞記事を見て関心を持った帯広の山崎美華さんは、2018年から帯広で十勝ブックフェスを開催し、地元で大きく取り上げられた。

Vol.148 株式会社内山企画会社 代表取締役副社長 山崎 美華さん [本日のフルコース] 自社出版『十勝のアイヌ伝説』が好評発売中! 内山企画会社副社長の「主人公になりきり本」フルコース - 5冊で「いただきます!」フルコース本 北海道書店ナビ

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その十勝ブックフェスに来場した前述の斜里町の方々が盛り上がる会場を見て「自分たちがブックフェスをやったときの気持ちを思い出した」と尾崎さんに語ったという。
「そう言ってくださったことがすごくうれしかった。実行委員会から"こうしてください"とお願いすることは一切ないんです。各地の皆さんがやりたいことをやりたいときにやる、でいいと思います」

尾崎さんの話を聞いたさっぽろ市民カレッジ受講者の感想。
「"なんでもあり"の姿勢にビックリ。古本市の参加も敷居が低くて、持ち出しも少ない。これなら自分も、と素直に思えました」
「イベント企画というと毎週どこで、どのくらいの集客で…と形を整えることに気持ちがいきがちでしたが、北海道ブックフェスは尾崎さんたちが楽しんでいたら広がっていく。まちづくりの真髄を見る思い」
ゆるさが生み出す楽しさに共鳴する声が多かった。

投影されている地図は北海道ブックフェスが開催された街MAP。「やり方もカラーも違うのがすごく面白い」と尾崎さんも毎回楽しみにしている。

一方、北海道ブックフェスが各地に広がる背景には地方から書店が消えているという厳しい現実が横たわっていることも見過ごせない。
尾崎さん本人も「いろいろなところで本を買えるように」と始めたブックコーディネーターの本業と北海道ブックフェスの両輪で走る先には「まちに本のある空間を増やしたい」という切実な願いがあるからだ。
ゆるさと楽しさの水面下に透けて見える、本と書店へのつきせぬ思い。北海道ブックフェスが共鳴を呼ぶ最大の要因はここにあると信じたい。

「十周年の節目を迎える2020年は準備段階からオープンにして、どなたでも参加できる公開ミーティングを開きます」と告知する尾崎さん。
「本は間口が広いのでどこからでも入ってきやすいですし、イベント開催の情報もメディアが取り上げてくれやすい。関心がある方はぜひできるところから始めてみてください」
最後はそう呼びかけて、受講者たちを励ました。

北海道ブックフェス

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2月22日土曜13:30~15:30は札幌市の道特会館5階B会議室(北2西2)で誰でも参加できる公開ミーティングを実施!
詳細はFBやTwitterをご覧ください。

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