5冊で「いただきます!」フルコース本 北海道書店ナビ

書店員や出版・書籍関係者が腕によりをかけて選んだワンテーマ5冊のフルコース。おすすめ本を料理に見立てて、おすすめの順番に。好奇心がおどりだす「知」のフルコースを召し上がれ

第377回 NetGalley(ネットギャリー)北海道の書店員の声編

[サイト紹介]北海道の書店員たちも使っています!
発売前の電子ゲラを読めるサービス『NetGalley』

[2018.5.21]

アメリカ生まれの新サービスが2017年日本上陸
出版社43社が活用、無料登録会員2000名到達!

2017年10月17日に始まった電子ゲラ配信サービス『NetGalley(ネットギャリー)』(株式会社出版デジタル機構が運営)を知っていますか?

従来は出版社が個別に書店に郵送していた出版前の原稿ゲラ(英語でgalley proof)を、『NetGalley』のサイトを介して電子データで無料配信するアメリカ発の新サービスです。

読みたい人は、まず無料登録から始めます。会員タイプ「書店関係者」「教育関係者」「図書館関係者」「メディア関係者」「レビュアー」を選ぶなど、簡単なプロフィールを入力すれば完了です。

読みたい作品の「リクエスト」を出版社に送り、それが承認されると、お使いの端末で電子データのダウンロードが可能になります(このときゲラを快適に読むための無料アプリもダウンロードする必要があります)。

ダウンロード後のゲラをスマホで開くと、ご覧のとおり!

出版社と書店員および読書好きの方々をつなげ、"本の応援団"を増やそうという、この『NetGalley』。
2018年5月現在、出版社43社が参加し、約2000名が会員になっています。

新ジャンルに挑戦できるのも無料登録の気軽さから
発売前に読めるのでポップ作りにも時間の余裕が!

全国の書店員が注目する『NetGalley』、もちろん北海道にも上手に活用している書店員たちがいます。お二人にお話をうかがいました。

まず一人目は、文教堂さっぽろ駅店の及川愛実さん。2017年の北海道書店大商談会で『NetGalley』のことを知ったそうです。
同じ会社のベテラン書店員、文教堂北野店の若木ひとえさんも一足先に使っていたことから、同僚3人で「自分たちも電子ゲラを読みたいです!」と会社に持ちかけたところ、理解を示した会社がiPadを購入。当人たちに貸し出してくれています。

『NetGalley』以前は電子書籍を読んだことがなかったという及川さん

始める前に心配だったことは「出版社にリクエストを出したあと、許可が出るまでに時間がかかったり、もしかしたら許可をもらえない場合もあるのかも?なんて思っていました」
ところが実際にやってみると、「早いところではリクエストを出して30分後にすぐ許可が下りましたし、遅くても3日後くらい」。
これまでに許可が下りなかったことはなく、「こんなに簡単だったんだ!と驚くほどでした。

文庫や文芸のダウンロード時間はほぼ10分以内。コミックになるとデータ量が重くなり、15分程度かかることも使ってみてわかったことのひとつです。
「ダウンロード後もつねにネットに繋がっていないとゲラを読めないのかと思っていましたが、これも私の勘違い。ダウンロード後は期限内ならいつでも読むことができるんですね」

これまでに読んだ作品は、今村夏子著『星の子』や桐野夏生著『路上のX』。某有名書店の書店員、新井見枝香さんが書いたエッセイ『探してるものはそう遠くはないのかもしれない』、コミックの『シェア男!!』『地上100階~脱出確率0.0001%~』など。
普段は読まないジャンルのエッセイを読もうと思ったのも、無料で読める気軽さから。さらに『探してるものは…』では感想を書くレビューデビューも果たしました。

書店員の場合、発売前の新刊を読める魅力は仕事に直結します。
「面白い!と思った作品は店頭で大きく扱いたくなりますし、事前に読めることでポップも時間に余裕を持ってつくることができます」

及川さん作の手書きポップは思わず足を止めて読み込んでしまうほど!

いま、発売前の新刊と同じくらいに及川さんが気になるのは既刊本の存在です。
「NetGalleyをきっかけに過去の傑作と出会い、追加発注をかけたりして店独自の売上につなげていける可能性もあると思います」
新刊・既刊ともに"売り伸ばしていける作品との出会い"が秘められていると語ってくれました。

面白かった本は担当者に伝えて棚づくりに反映
書いたレビューが出版社の特設サイトに掲載!

NetGalley登録書店員の二人目は、岡本書店恵庭店の齋藤榛菜さんです。

齋藤さんも及川さん同様、2017年の北海道書店大商談会で『NetGalley』の説明を受け、その場で自分のiPhoneから登録を終了。
早速、当時発売前だった道尾秀介著『風神の手』をダウンロードし、面白さを確信して初回入荷したと言います。

リクエストもダウンロードも「まとめてする派」の齋藤さん。

「これまで郵送されてきたゲラは、日常業務に追われてたまっていくばかりとか、なかには気づかずにいつまでも封筒に入ったまま…ということもありました。それがNetGalleyになってからは、外出先やちょっとした待ち時間にもスマホ一つで読めるので、とっても便利になりました」

読んだ作品は自信を持ってお客様にお勧めできるのが、書店員としてはうれしいところです。
木皿泉著『さざなみのよる』も、すごく心に残ったことを文芸担当者に伝えたところ、ご覧のとおりの展開に。

スタッフ間の情報共有で店頭に活気が生まれ、その活気がお客様にも伝わっていく。

齋藤さんのNetGalleyライブラリー。及川さんも読んでいた『星の子』を発見!

瀬尾まいこ著『そして、バトンは渡された』、爪切男著『死にたい夜にかぎって』も、しっかり店頭でプッシュ中!

「自分では買わないジャンルだった」という恋愛エッセイ『死にたい夜にかぎって』では、齋藤さんが書いたレビューが特設サイトの「書店員さんの感想・書評」コーナーにも掲載されています。

http://www.fusosha.co.jp/special/tsumekiriman/

「レビューはできるだけ書くようにしています。無料で読ませてもらっているので書かないとワルイかなあという気もして(笑)」
レビューのコツはできるだけポジティブな目線で書き、それから「あまり主観を入れない」こと。
「もし私にはあわなくても、"誰かにとっては大切な本"になるかもしれない。そう思いながら書くように心がけています」
NetGalleyの活用でレビュアーとしての発表の場も、今後ますます広がりそうな予感です。

文教堂さっぽろ駅店の及川さんも、岡本書店恵庭店の齋藤さんも口を揃えて「自分では買わないジャンルの本の面白さを発見できた」と讃えるNetGalley。人気作家の作品もアップされ、文芸以外にも健康や実用書などジャンルも着実に増えています。

「自分でやってみてわかりましたが、登録に難しい作業はありません」と及川さん。
「もっと登録者が増えれば、出版社や掲載書籍の数も増えるはず。本が好きな書店員とってはメリットばかりのNetGalleyです」

多忙な書店員に最新情報と自信を与えてくれる「本の応援団づくり」が、いま熱い! あなたもその応援団の輪に加わってみませんか?

●NetGalley
https://www.netgalley.jp/
●NetGalley掲載作品一覧はこちら https://www.netgalley.jp/catalog/recentlyAdded

 

文教堂さっぽろ駅店の及川さんが選んだ本のフルコースはこちら!

嵐メンバー出演の映画・ドラマ原作本」フルコース

www.syoten-navi.com

 

●岡本書店恵庭店の齋藤さんが選んだ本のフルコースはこちら!

「女性の転機を女性著者が描いた本」フルコース

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