[BOOKニュース]
いま、書店と本ができること
[2020.4.27]
2020年4月の時期に書店と本ができること
新型コロナの拡散予防対策として2020年2月28日に全国のどこよりも早く「緊急事態宣言」が出た北海道。
4月20日から5月6日まで道内全域の商業施設や遊興施設、図書館・博物館等が休業要請を受け、街中から人の気配が消えています。
現時点で活発に動いている書店情報3本をお届けします(予定していた「中の人」ふりかえり企画はまた後日)。
「一万円選書」のいわた書店が姉妹企画「いわたま選書」スタート!
いわた書店(北海道砂川市)の岩田徹さんが考案した「一万円選書」の人気は全国区。募集は年に一度。毎月抽選が行われ、当選した人びとの喜びの声がTwitterに上がっている。
いわた書店も各SNSにアカウントがあり、YouTubeの公式チャンネルでもこまめに情報を発信中。その「中の人」である書店員の"いわたま"さんが、4月20日から「いわたま選書」を立ち上げた。
「(自分の選書で)需要があるのだろうか」とSNSでつぶやいた2日後には「稼動しました」と発表する電光石火の行動力には目を見張る。
以下、メッセージインタビューを掲載する。
いわた書店公式チャンネル
書店ナビ:岩田さんが考えた質問に購入希望者が回答する「カルテ」のやりとりから10冊前後の本を選ぶ「一万円選書」。いわたまさんが始めようと思ったきっかけは?岩田さんはなんておっしゃってましたか?
いわたま:このコロナの影響で「本を送ってほしい」というお電話での問い合わせが多く、よくよく聞いたら社長の選書じゃなくてもいいというので送らせていただいたのが始まりです。
社長には、ほぼ事後報告です(笑)。「どんどんやって!」という感じでした。普段からいろんな書店さんに「一万円選書やっていいよ」と言ってますので。
YouTubeやSNS、ZOOMを使った「おうちでいわた書店」なども社長、ほとんどノータッチです。勝手にやらせてもらえるのがありがたいです。
書店ナビ:発表後の反応は?
いわたま:4月21日現在で22名お受けして止めてます。正直5人くらい来たら御の字と思っていたのでヤバいと思いました(笑)。
2019年7月に行われた北海道図書館研究会で講演中の岩田徹さん。
書店ナビ:岩田さんの選書との一番の違いはカルテをやりとりするのではなく「電話で5~10分質問する」方法です。
いわたま:そもそも、お店にいつも来ていただくお客様とは会話の中で選書していくじゃないですか。それの延長ですよね。
社長のカルテを書くのは自分の人生を見つめ直す作業なので結構大変なんですけど、自分がもっと気軽に聞くなら電話だな、と。声ってけっこういろんな情報ありますからね。
質問はその人によって変わるんですけど「マンガ読みますか?」は聞いてます。私が好きなので。あと「お酒飲みますか?」も。友達になっていく感じですかね。合コンみたいな。行ったことないんですけど合コン。
書店ナビ:実際に始めてみてどうですか?
いわたま:聞き取りが始まった今も質問はずっとアップデート中です。自分が身構えてしまうと相手も構えると思うので、まずは日常会話から。「そっち、どうですか?」から始めると大抵、皆さんいろいろ話してくれます。
書店ナビ:「一万円選書」は売上を考えると他の書店もやりたい企画ですし、岩田さんも「どうぞどうぞ」と言っているのに実行している話はほとんど聞きません。
それを身内とはいえ、いわたまさんが「ほら、社長じゃなくてもやれますよ」と名乗りを上げたことがすごいと思うんです。
いわたま:ツイッターには書店員さんがたくさんいて、各地に名物書店員さんもいっぱいいます。お客目線で言うと絶対「その人から買いたい」と思うはずなんですよね。本はもはや「機能」では勝負してなくて、「あの人」が薦めた「この本」を「その人」から買いたい時代。
ですから書店さんは普通に送料をもらっていいと思います。電車に乗って店頭に買いに行っても交通費かかるじゃないですか。本州のお客様が砂川にあるうちの店に飛行機を使って来ることを考えたら安い安い(笑)。
今はお店の棚の一部を「いわたま選書」コーナーに勝手にしようと思ってて。
自分の推しばかりを集めた棚があれば、お客様もそこから簡単に選書できますよね。これが社長の言ってたことなんだな~とあわてて発注かけてます。
もう入手できない本がたくさんあって泣けますけど(全国のみなさん、本はすぐ消えるから気になったら買ったほうがいいですよ!)。
うちみたいに小さい店は小回りもききますが、そうじゃないところもたくさんあると思います。ただ、できない理由を並べてもしょうがないんでとりあえずやってみる。すっころんだら改善。その繰り返ししかないです。やれば見えてくることもあるし。
長々と言ってますが、簡単にまとめると「私のようなヤツができるんだからみんなもできる」ですかね。これに尽きます。
お付き合いありがとうございました。したっけねー!
書店ナビ:「いわたま選書」は毎週日曜に公式サイトで募集中ですね。これを機に「一万円選書」ファンや本好きが集まるFacebook「いわた書店の横丁」もあわせてチェックしてほしいですね。「今日の社長」や軽快ないわたまトークがたっぷり楽しめます!
売り場の画像をSNSにUP!書肆吉成丸ヨ池内GATE6F店
大家である商業施設の臨時休業により"やむなし休業"に入った書店もある。札幌市中央区の「丸ヨ池内GATE」6階に入っている新刊・古書店「書肆吉成」さん。
4月18日からTwitterで「バーチャル店売り大会」を始めた。
公式アカウントによると「店舗が開けられなくて悔しさMAXなので、お店の棚の写真を撮ってバーチャル店売りをやります!(中略)気になる本がありましたらお気軽にお問合せくださいませ」。
そう告知して次々と棚の画像をアップした(道外の書店も同様の試みをしているところがある)。
お客が来店できないのであれば、こちらから自宅に入っていく。しかも1冊1冊を紹介するネット通販式ではなく、棚ごと見せる直球な試み。
思えば、棚は書店の思想そのものにほかならない。
画像を見ながら店内を回遊しているような楽しさもあり、ネット通販とはひと味違ったニーズを掘り起こしそうだ。
実際、「北海道コーナー」の棚を見た人から複数注文がきたという。やはり行動あるのみ、だ。
北海道初!江別市に「北海道学校図書館づくりサポートセンター」が開館
見本図書の展示販売のほか、図書館管理システムの体験もできる。
NPO法人北海道ブックシェアリング(荒井宏明代表)が2020年4月15日、江別市の大麻銀座商店街に「北海道学校図書館づくりサポートセンター」を開館した(場所は旧書店「ブックバード」)。
道内小中高の学校図書館を担当する司書教諭や学校司書あるいは図書委員になった生徒たちの選書をバックアップする北海道初の施設となる。
館内には常時、学校図書館におすすめの見本図書約2500冊を展示し、教育・出版関係者や保護者も受け入れる。こうした施設をNPO法人が経営するのは全国初の試みだ。
来館希望者は希望日の2週間前までに要予約。公式サイトのフォームまたはメール、電話、FAXで申し込みを。
北海道学校図書館づくりサポートセンター
江別市大麻東町13-45
電話011-378-4195 FAX011-378-4196
メール
牛乳パックで作る本立てなど学校図書館に必要な備品の作り方もレクチャーしてくれる。
NPO法人も企業同様、このコロナ禍で活動の自粛を余儀なくされ、経営が圧迫されている。北海道ブックシェアリングでは常時サポーターを募集中。詳細は下記のブログへ