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第518回 BOOKニュース:いわた書店がハンドクリームを新発売!

今週の北海道書店ナビはBOOKニュースをお届け!

[NEWS 01]砂川・いわた書店が新発売!「本を読むときのハンドクリーム」
『虹いろ図書館のへびおとこ』書き下ろしストーリー付き

店主の岩田徹さんが作った質問表「カルテ」をもとにした「一万円選書」で全国に知られる砂川市のいわた書店。
2020年4月20日からは娘の及川昌子さん、通称「いわたま」さんによる「いわたま選書」もスタート。
当選者への質問を電話に切り替え、父・徹さんの選書では出番が少なかったコミックも積極的にリスト入り。
購入者が贈りたい相手を指定する「いわたま選書ギフト」も展開し、独自の色を打ち出している。

第473回 2020年4月のBOOKニュース

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2021年6月からは「ちょっとシャイなあなたでも」「24時間申し込める」Googleフォームを使った「いわたまカルテ」も始めたばかり。
「タイミングによっては応募を締め切っていることもありますが、基本は週ごとに区切って応募を続けていきます」と語る。

さらに7月中旬からは、意外な新商品「本を読むときのハンドクリーム」を売り出すという。電話で詳しいお話をうかがった。

本を読むときのハンドクリーム

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もともと、レザーブランド「ソメスサドル」と組んだオリジナルブックカバーやカフェ「MEDERU」と作った「本を読むときの珈琲」など、地元・砂川市の企業とのコラボ商品は経験済み。

今回は中学時代の後輩が経営する美容室「har creation BONDS」とのコラボで、ハンドクリーム作りに取り組んだ。
美容成分はBONDSに任せ、昌子さんは以前愛用し廃盤になっていたクリームの香りを再現したくて「すずらんの香り」を選択。
「それだけではまだ物足りない」と考えているうちに、「書き下ろしの物語を付ける」という書店ならではのアイデアにたどりついた。

では一体、どんな物語がいいかーー。そのときに選んだ1冊こそが、2018年の第1回「氷室冴子青春文学賞」(岩見沢市)を受賞した櫻井とりお著『虹いろ図書館のへびおとこ』(河出書房新社)。

虹いろ図書館のへびおとこ

虹いろ図書館のへびおとこ
櫻井とりお  河出書房新社
いじめで学校に行けなくなった小学6年生のほのか。たどり着いたおんぼろ図書館で顔の右半分がみどり色の司書や謎の少年、そしてたくさんの本に出会う。第1回氷室冴子青春文学賞大賞受賞作を大幅に加筆修正して単行本化! 

本書は2019年11月の初版発行以来、著者が無名の新人作家ながらすでに7刷に突入し、累計発行部数2万4千部のヒット作!
昌子さんも愛読書であることを公言しており、著者のオンライントークイベントのゲストに呼ばれたこともある。

第480回 氷室冴子青春文学賞オンラインイベントレポート《前編》

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「物語に出てくるうつみさんやイヌガミさん、そして主人公のほのかちゃんたちがこのハンドクリームを使っている場面が一気に浮かんできて、これをぜひ著者の櫻井とりお先生に書き下ろしていただきたい!と思ったんです」

そこから版元の河出書房新社や氷室冴子青春文学賞応募のプラットフォームとなっているエブリスタの関係者を通じて、著者による書き下ろしが実現。

クリームが入ったチューブ本体に短い書き下ろしが印刷されたシールを貼り、
『虹いろ図書館』の世界観をまとった「本を読むときのハンドクリーム」が完成した。

7月中旬に発売予定だが、すでにいわた書店の公式サイトで予約受付が始まっている。1本50ml・1650円で販売する。
「クリーム単品でもお買い上げになれますし、『虹いろ図書館』とクリームのセット購入ができるフォームも作りました。本の新しい売り方の実験になりますし、何より自分の大好きな“萌え”を集めた商品が出来上がって、私自身が今かなり舞い上がっています」と喜ぶ昌子さん。

「私の担当は熱意だけ。あとは全部、周りを巻き込んでやってもらいました」とも笑うが、それはそのまま人の力を借りることができる素直さと行動力の表れだ。
そんな朗らかな書店員パワーから完成したすずらんの香りのオリジナルハンドクリームで、イヌガミさんたちとまた会えるのが待ち遠しい。

いわた書店

iwatasyoten.webnode.jp

7月4日(日)10:30からは櫻井さんと、第三回氷室冴子青春文学賞『ブラザーズ・ブラジャー』の著者、佐原ひかりさんをゲストに迎える無料オンラインイベントも開催される。
申し込みは公式サイトまで。6月30日(水)23時59分まで受付中。

オンライントークライブのお知らせ/お申込み | 氷室冴子青春文学賞

i-akariya.org

[NEWS 02]緊急事態宣言で開催中止「後志インフラ文学展」
YouTube動画配信で次々と魅力を紹介!

2021年5月22日から6月20日まで市立小樽文学館で開催予定だった「後志インフラ文学展」。北海道の緊急事態宣言と重なり、せっかくの展示が(搬入も終わっていたのに!)中止になってしまったという悲しい話が聞こえてきた。

後志(しりべし)とは、広大な北海道をエリアごとにまとめて管轄する独自の支庁制が現在も引き継がれている区分けの一つであり、小樽市をはじめ余市町、積丹町、ニセコ町、蘭越町、泊村、神恵内村など20の市町村で構成されている(現在は後志総合振興局が担当)。
地図で見ると札幌から西側、日本海に突き出した海岸地帯というと想像していただけるだろうか。

この後志の歴史を道路やトンネル、鉄道、港湾といったインフラでふりかえり、それぞれ文学との関わりを紐づけていくという非常にユニークな構成で展開しようとしていたのが、「後志インフラ文学展」である。

主催は市立小樽文学館だが、アイデアは北海道開発局小樽開発建設部と共に練り、構想を含め4年間かかった渾身の企画だったという。
「鉄道と文学」「トンネルの歴史」「道路と文学」「農業と文学」など、どれも本来であれば会場でじっくりと展示を見たくなる内容ばかりだ。

そこで現在は「この素晴らしい展示をお披露目することなく撤収するのはもったいない!」と会場で撮影した動画をYouTubeで配信中。

後志インフラ文学展

www.youtube.com

動画の進行はNPO法人ほっかいどう学推進フォーラムの新保元康理事長が務め、北海道鉄道観光資源研究会代表の永山茂さんや北海道開発局小樽開発建設部道路計画課課長の佐々木博一さん、岩内町郷土館の枝元るみさんらがそれぞれ得意の分野について解説している。

6月12日にライブ配信された文学館の亀井志乃館長も交えたギャラリートーク風景。こちらも後日、動画配信されるので「後志インフラ文学展」チャンネルでチェック!画像提供:久保ヒデキさん

「飢餓海峡」と岩内

www.youtube.com

昭和29年に起きた「岩内大火」と水上勉の名作『飢餓海峡』との関わりを岩内町郷土館の枝元るみさんが解説。貴重な昭和30年代の映像も垣間見ることができる。

また小樽開発建設部道路計画課では、数々の文学の舞台となった場所を歩く「後志ツーリズム」も提唱。公式サイトで「日本海側編」「羊蹄山麓編」「小樽市内編」の3ルートを紹介している。

地域の情報 |小樽開発建設部

www.hkd.mlit.go.jp

オンラインを活用したことで関係者の絆も深まり、展示だけでは言葉不足のところまで自分たちの言葉で語ることができたメリットもあるようだ。
負に屈しないたくましさが、さすがインフラに関わってきた人々である。

後志インフラ文学展(Facebook)

[NEWS 03]北海道図書館研究会 オンライン鼎談終了
「子どもがゲームばかりで本を読まない!」チャットで質問も

2021年6月12日にオンラインで開催された「第二回北海道図書館研究会」。
司会は同会の実行委員長であり、司書・ブックコーディネーターの加藤重男さん。
札幌の「俊カフェ」オーナーの古川奈央さんと、江別を拠点に活動する一般社団法人北海道ブックシェアリング代表、荒井宏明さんをゲストに迎えた鼎談が行われた。

配信は万全のコロナ対策をして俊カフェから。事前申し込みに58名が登録した。写真奥から荒井さん、古川さん、加藤さん。

「コロナの影響下で新たに始めたことは?」という加藤さんの質問に、古川さんはオンラインショップを立ち上げ、言葉で想いを表現したいという執筆者有志による小冊子『ツヅル』を創刊。
荒井さんは司書と学校図書館専門員の資格を取得するため「大学生になりました」と明かし、各自が今できることに取り組む姿勢で視聴者を勇気づけた。

後半は視聴者からの質問タイム。「このコロナ禍で(気持ちがふさぎ)小説を読む時間が少なくなってきました。純粋に読書を楽しめる日がまた戻ってくるのでしょうか?」という問いかけには、古川さんが次のように回答。

「小説を読まなくては、と深刻に考えずに、その気になった時だけ手に取る、あるいはたとえ一行だけでも読んでみる。心を喜ばせるものとして気軽に考えてみては」とやさしく語りかけ、読書のハードルを下げることを提案した。

「子どもがゲームや動画ばかりで本を読まない。どうすれば読書に関心が向くでしょうか?」という質問には、道内の学校図書館で実態調査やアドバイスをしている荒井さんが「親御さんが言う"読書"って実は二通りあるんです」と指摘する。
「小説や文学の読書はこれはこれで大切な趣味ですが、小中学生たちにとっては実はそれよりも"調べ学習"のための読書、課題に対する答えにたどりつくための本の引き方、読み方がとても重要。生き抜く力に直結します。親御さんはこの両者の違いを理解して、小さいお子さんならば特に後者がどうなっているかを見てあげてほしい」とアドバイスした。

「次回はぜひ皆さんと会えますように!」

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