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第533回 新刊書店「Seesaw Books」オープン!

11月1日、東京・神楽坂にある「かもめブックス」の柳下恭平さんを講師に迎えた「Seesaw Books」オープン記念イベント「校正基本講座」が開かれた。月曜の夜7時から2時間という時間帯にもかかわらず20人近くが参加した。

[本のある空間紹介]
「書店+シェルター」構想が動き出す!2021年10月30日
札幌・北18条の新刊書店「Seesaw Books」オープン !

[2021.11.8]

580人の支援者に背中を押され17坪に約2700冊

秋晴れが美しい札幌の10 月30日、札幌市北区北18条西4丁目にゲストハウス「UNTAPPED HOSTEL」が経営する新刊書店「Seesaw Books」がオープンした。

入口は路面から少し奥まったところにあり、札幌のアーティスト相川みつぐさんが描いたこのクマが目印。

「UNTAPPED HOSTEL」の代表、神輝哉さんはコロナ禍の中、2020年5月から空き部屋を活用して生活困窮者を受け入れるシェルター事業をスタート。
当初は期間限定の予定だったが、そこに集うさまざまな人々と接するうちに「そこから見える現実と向き合うことで拓ける未来の可能性を探っていきたい」とシェルター事業の継続を決意した。

そこにかねてより思い描いていた「書店経営」を加え、2021年8月には「UNTAPPED HOSTEL」別館の一階を新刊書店に、2階をシェルターにするためのクラウドファンディング・プロジェクト[札幌に、カルチャーと公共の境界線を溶かす「書店+シェルター」をつくりたい!]に挑戦。

目標額の150万円を開始1日で達成し、プロジェクト終了時には支援者数580人、目標額の5倍に近い732万円4925円の支援金を集めることに成功した。

第530回 UNTAPPED HOSTELが作る新刊書店「Seesaw Books」

www.syoten-navi.com

そこから神さんたちの開店準備は弾みがつき、書店の名前も「公園のシーソーのように視点が広がる喜びを感じてほしい」と「Seesaw Books」に決定。
「実は看板もまだ間に合っていないんですが」と笑いながらも2021年10月30日、たくさんの支援者から祝福された開店初日を迎えた。

お祝いの花がいっぱい。友人知人も続々と来店し、エプロン姿の神さんもうれしそう。

タイの友人からは「Congratulation my best friend! I always believe in you!」という熱いメッセージが届いた。

神さんがかつて営業職で勤めていた「主婦の友社」からの花も入口に(矢崎社長は神さんの直属の先輩だったそう!)。左奥のカウンターではコーヒーやクラフトビール、ソフトクリームを提供している。

広さは17坪。開店初日の段階で約2700冊。「あと1000冊は増やす予定です」(神さん)

インデックスなし・棚オーナー制度、新たな試みが続々と

出版社勤務の経験があるとはいえ「書店経営は初めて」の神さんにとって店作りは始まったばかりだ。
棚を見渡すと「出版社別」「作家別」あるいは「ジャンル別」のインデックスもなく、まずは「食」や「ジェンダー」「社会問題」「音楽」「環境」などの大まかな塊で並べたことが見てとれる。

明るい無垢材を使った棚に面陳がよく映える。

入ってすぐの左側には「旅」コーナー。下段には札幌の出版社の本を集めた。

書店のセオリーでは「今月の新刊」や「売れ筋」が並ぶ一等地もご覧の通り。《カルチャーと公共の境界線を溶かす「書店+シェルター」》を謳うSeesaw Booksらしいラインナップ。

書店経営、ひきこもり、オープンダイアローグ、ソーシャルワーク…。

ジェンダーやダイバーシティなどの読み応えがある分野でもタイトルや装丁がユニークで思わず手が伸びてしまう選書が多い印象だ。

さらに注目したいところは「棚オーナー制度」の導入だ。店の奥が「棚オーナー」ゾーンになっており、縦横約50cm・奥行き25cmの枠が並ぶ。
現在はクラファン支援者による15枠で展開中。1冊売り上げるたびに100円が「Seesaw Books」に入る。

東京・吉祥寺の「ブックマンション」や今年10月8日にオープンしたばかりの渋谷ヒカリエ8階「渋谷〇〇書店(シブヤ・マルマル・ショテン)」など、首都圏ではこうした共同運営型書店の先行例があるが、札幌市内でここまで本格的な規模の棚オーナー制度の導入はこれが初めてになるだろう。

棚の使い方はオーナー次第。古本や自著などの本を軸に据えつつ、プラスアルファの要素でオーナーの個性を表現できる。

Seesaw Booksのオリジナルブレンドコーヒー豆を作っている「暮らしと珈琲 みちみち種や」さんの棚。焙煎担当のてっぺいさんの父、加藤哲夫さんの著書『加藤哲夫のブックニュース最前線』も置いてある。「父が昔に出した本なんですが、こうして新しい本屋さんに置けるなんて夢にも思っていませんでした」

「フカフカ書店」はUntapped Hostelに泊まったことがあるイラストレーター・漫画家のはしゃさんの棚。描き下ろしのポップでラインナップをわかりやすく解説している。

こうして見てみると、Seesaw Booksにとっての「新刊」とは単に《発行日が新しい本》ではなく、《読者という旅人に新しい世界の扉を開いてくれる本》という意味であることが、どの棚からも伝わってくる。
あのギッコン・バッタンと視点が入れ替わるシーソーの楽しさを届けてくれる空間だ。

初のイベントは「校正基本講座」、11月23日には炊き出しも

11月1日月曜の夜には、オープン記念イベントとして東京から校閲専門会社「鴎来堂」・「かもめブックス」代表の柳下恭平さんを講師に迎えた「校正基本講座」が開かれた。

柳下さんと神さんは共通の知人を介して知り合い、新刊書店の立ち上げにあたり「相談相手になってくれた柳下さんの存在がとても心強かったです」と神さんは打ち明ける。

柳下さんも「北海道大学が近いこの場所にこういう面白い書店ができたことで"近所に住みたい"とか、卒業した後もふらりと立ち寄ってくれる若い方が増えるといいですね」と、小さな書店の船出にエールを送る。

終始笑いが絶えなかった校正基本講座はオンラインでも配信した。校閲志望者に向けて「校閲は愛と意地があれば(できる)」という柳下さんの名言も飛び出した。

「これからも学びや面白いことを共有できる時間を作っていきたいです」と最後に挨拶する神さん。

また、クラファンで約束した「シェルター」機能の強化も動き出している。11月23日火曜には第2回「おおきな食卓」と題した炊き出し&無料ヘアカットを開催する。

産声を上げたばかりの新刊書店は「みんなでつくる みんなの本屋」でもある。アクセスは地下鉄南北線「北18条」駅から歩いてすぐ。赤ちゃんが会うたびに成長しているように創業期ならではの小さな変化を見つけに足を運んでほしい。

Seesaw Books/シーソーブックス (@seesawbooks_n18) | Twitter

twitter.com

UNTAPPED HOSTEL-アンタップトホステル- | 北海道札幌市のゲストハウス

untappedhostel.com

〒001-0018
北海道札幌市北区北18条西4丁目1-8
TEL & FAX 011.788.4579
9:00-20:00 水曜定休

ゲストハウス「UNTAPPED HOSTEL」2

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