【NEWS01】
三省堂書店で好評開催中!
『北海道の図書館員が勧めるブックガイド』発売記念フェア
札幌の加藤重男さんが2023年3月に上梓した『わが町を知ってもらうなら!北海道の図書館員が勧めるブックガイド』(中西出版)の出版記念フェアが現在、三省堂書店札幌店で開催されている。
- わが町を知ってもらうなら!
北海道の図書館員が勧めるブックガイド
野口武悟・青木竜馬監修、加藤重男編著 中西出版 - 自分たちのまちを知ってもらうための選書アンケートに回答した170市町村の公共図書館や図書室によるブックガイド。26館の図書館員インタビューや、いわた書店・まちライブラリー・北海道ブックシェアリング等関係者のコラムも掲載。
図書館司書の資格を持ち、書店や出版社、取次会社の勤務歴もある加藤さんは、本に特化した企画・イベントのコーディネーター。
初の編著書となる本書は、「図書館が旅の目的地になるような図書館ツーリズム」がコンセプト。
全道の公共図書館に「わが町を知ってもらうなら、どんな一冊を選びますか?」というアンケートを送付し、回答した170館の回答を掲載している。
4月29日には紀伊国屋書店札幌本店で出版記念トークイベントが行われた。(画像協力:中西出版)
図書館側が選んだ「わが町」本のジャンルは幅広く、三省堂書店札幌店ではその一部と関連本でフェアを展開中だ。(6月25日まで)
JRタワーステラプレイス5階の三省堂店内にあるエレベーター前のスペースで展開中。『図書館員ブックガイド』の構成と同じく、十勝・オホーツク・釧路などの「総合振興局・振興局別」に並べている。
胆振(いぶり)管内むかわ町のむかわ町四季の館まなびランド図書室が選んだ一冊は、2019年に新種の恐竜「カムイサウルス・ジャポニクス」と発表された恐竜全身骨格の発掘記『ザ・パーフェクト』。同じ町内の町立穂別図書館はそのコミック版『漫画 むかわ竜発掘記』をチョイスした。選書からそのまちが何を誇りに思っているかが読み取れる。
2023年春からNetflixで実写ドラマ化された羽幌町出身の漫画家・椎名軽穂さんの『君に届け』を選んだのは、羽幌町立中央公民館図書室。豊富町定住支援センター図書室は隣町の幌延町在住の写真家・冨士元寿彦さんの写真集『鳥たちの365日 北海道サロベツ原野』を推薦した。
「今の時代、図書館と書店は共に読書体験を広げていく同志のような存在」と加藤さんはいう。今回のフェアのようにどちらにも足を運ぶきっかけとなるコラボ企画が今後も増えていくことに期待したい。
【NEWS02】
謎の覆面座談会が5月30日(火)札幌市中央区bokashiで開催!
テーマは「紙の本の未来」、あの人・この人が話すというウワサ
札幌でユニークな本のイベントが開催される。その名も「覆面座談会 紙の本の未来」。
主催者である覆面座談会実行委員会メンバーは、本の卸売り会社の社員だというhaniwaさん、企画のカジタさん、会場であるコワーキング・レンタルスペースbokashiのメンバーであり「本の虫」だというaomoriさん。
チケット発売のPeatixに書いてある説明を引用するとーー
これからの紙の本、本屋さん、本と人との出会いやかかわり方…
そんな問いを、本に携わるあらゆる立場の人と広く語らいたい。
しかし出版業界の歴史は長く、慣習や法律といった様々なしがらみを抱えており、業界全体の人が集まりタブーなしに語らうことはなかなかありません。
そこで今回の座談会では、立場や年齢・性別を超えた状態で話せるよう覆面状態で登壇者に集まっていただいて座談会を行うという形式を取ります。
『紙の本に未来はあるのか。書店はいつかなくなるのか。』
紙の本の未来をテーマに登壇者が車座になってくっちゃべります。
とある。気になる登壇者は「作家・出版社・製本会社・取次(本の流通会社)・小売(本屋さん)・NPO・図書館関係者など10名程度」(参加者の詳細プロフィールは非公開)。
定員が先着順30名という小さな集まりのため、登壇者と参加者の距離が近く、主催者側も「半分観覧者、半分参加者として本イベントを楽しんでください」と呼びかけている。
●「覆面座談会 紙の本の未来」企画概要
【日程】5月30日(火)
【開場】18時30分
【開始】19時00分~20時30分
(終了後30分程度の懇親会を予定しています)
【参加費】1,500円
19時00分までキャッシュオンでドリンクをご購入いただけます。
【場所】bokashi Base
札幌市中央区南二条西一丁目7番地1 二番館ビル2階
地下鉄「大通」駅より35番出口より徒歩0分
【定員】30名(先着順)
【NEWS03】
目の見えない白鳥さんとアートエデュケーター佐藤さんが語りあう
ステキな本『しゃべりながら観る』無料ダウンロードのすすめ
2022年に話題になったベストセラーの中でも「新しい美術鑑賞のあり方を提示した」と大きな関心を集めた一冊が、『目の見えない白鳥さんとアートを見にいく』だ。
- 目の見えない白鳥さんとアートを見にいく
川内 有緒 集英社インターナショナル - 全盲の美術鑑賞者、白鳥建二さんと現代アートや仏像を鑑賞すると、現れるのはこれまで見えていなかった世界。視覚の不思議、アートの意味、生きること、障害を持つこと……などが白鳥さんや友人たちとの会話から浮かび上がってきます。
この本がきっかけとなり、2022年冬にクラウドファンディングで白鳥さんの美術鑑賞を追うドキュメンタリー映画を全国に自主配給するための資金を募ったところ、約450万円の支援が集まった。
現在、各都府県で三好大輔・川内有緒共同監督の劇場ドキュメンタリー『目の見えない白鳥さん、アートを見に行く』が公開されている(残念ながらまだ北海道での上映は発表されていない)。
このように今年も引き続き、「白鳥さん」の名前を耳にする機会がありそうだが、「まだ本を手にしていない」という方に入門書として格好の冊子をご紹介したい。
ドキュメンタリー映画にも登場している白鳥さんの友人、アートエデュケーターの佐藤麻衣子さんと白鳥さんが「白鳥さんはなぜ、そしてどのようにアートを鑑賞しているのか」をときほぐす52ページの冊子『しゃべりながら観る』(白鳥建二・佐藤麻衣子著、アーツカウンシル東京発行、2023年)。
本書はTokyo Art Research Lab研究・開発プログラムの一環として制作されたもの。現在、このPDFが誰でもダウンロードできると知って驚いた。
冊子の裏表紙にはQRコードがあり、読み込むとテキストデータも入手できる(白鳥さんのように「見えないけれど知りたい」方々に届けるときの音声化に活用できる)。
電子書籍に抵抗を感じる方もきっと驚くくらいスラスラ読めるデザインと、見える側にいると日頃考えたこともない驚きと発見に満ちた白鳥さんと佐藤さんの楽しいおしゃべり。
読んだ後はぜひ皆さんの大事な人にも教えてほしい。