[BOOKニュース]
新刊紹介!道内170 市町村が本を通して自己紹介
『わが町を知ってもらうなら!北海道の図書館員が勧めるブックガイド』
[2023.4.3]
【NEWS01】
新刊紹介!道内170 市町村が本を通して自己紹介
『わが町を知ってもらうなら!北海道の図書館員が勧めるブックガイド』
本書の編著者であり司書資格も持つ加藤重男さん(取材協力 俊カフェ)
近年、まちの元気を図る尺度の一つとして図書館の注目度が高まっている。規模の大小や蔵書数を問わず、日本各地で地元色を掘り下げているところの話題は、皆さんの耳にも届いているのではないだろうか。
だがその焦点をこの広大な北海道に、約8万4000㎢という面積がオーストリア一国にも匹敵する北海道に特化した一冊は、誰もがそう簡単に作れるものではない。 2023年3月末に出来上がった『北海道の図書館員が勧めるブックガイド』編著者の加藤重男さんに詳しいお話をうかがった。
- わが町を知ってもらうなら!
北海道の図書館員が勧めるブックガイド
野口武悟・青木竜馬監修、加藤重男編著 中西出版 - 自分たちのまちを知ってもらうための選書アンケートに回答した170市町村の図書館・図書室によるブックガイド。26館の図書館員インタビューや、いわた書店・まちライブラリー・北海道ブックシェアリング等関係者のコラムも掲載。
「本書は監修者の一人である書籍編集者の青木竜馬さんのアイデアから始まりました。そのアイデアを図書館情報学を専門とする専修大学文学部の野口武悟教授からうかがい、北海道に移住して4年目の僕が"全道の図書館に知人友人を作りたい!"という思いで形にしたのが、この本です」
加藤さんは「本」の人だ。その経歴を見ると書店や出版社、洋書取次会社勤務に加えて(ロンドンの日系書店で2年間勤務したこともある)、司書資格を持っているため都内の公共図書館で働いた経験も持っている。
河出書房新社時代の2018年春に札幌に移住し、「外」から来た人ならではの行動力と情熱で翌年、北海道図書館研究会を有志と共に立ち上げた。
現在は愛猫の名前からとった「みんみん舎」の代表として本にまつわる企画・コーディネート業に取り組んでおり、今回の出版で加藤さんのキャリアには新たに「編著者」の顔も加わったことになる。
2019年7月に開催された第1回北海道図書館研究会イベント。日本各地から総勢63名の図書館関係者が集まった。
2022年6月に全道の図書館・図書室に配布した選書アンケートは、2カ月後に回収。並行してオンラインやメール等で26館への取材も行われた。
無論、可能な限り現地取材に出向いた加藤さんだが、車を持たないため交通手段は全て公共と飛行機で。
「去年はコロナ禍の観光復興支援で北海道割引があり、それをフル活用しました。あれがなかったらとても、とても(笑)」。
身をもって北海道の広さを実感したという。
「わが町」選書アンケートには売価の有無や新刊・古書等の縛りを一切設けなかったため、まちの広報誌からフリーペーパー、絵本、郷土本、コミック、小説等、実に多彩なタイトルが並んでいる。
「むかわ町の穂別図書館さんがコミックの『むかわ竜発掘記』(誠文堂新光社)を選び、同じ町内の四季の館まなびランド図書室さんはその原作本である『ザ・パーフェクト 日本初の恐竜全身骨格発掘記』(誠文堂新光社)を選ぶ、なんていう偶然の一致もあり、両方の担当者さんにそのことをお知らせしたら驚いていました」
現在、図書館は様々な形で運営されており、そこで働く人たち全員が「司書」とは限らない。
行政職員や地域おこし協力隊が図書館業務にあたるところもあり、そうした全ての人たちを含め、この本では「図書館員」と呼んでいると加藤さんは説明する。
管轄や立場は違えども、全ての図書館員たちが地元に注ぐ誇りと愛情を「本」という形で差し出した本書は、新しい形のガイドブックとも言えそうだ。
「酪農資料なら別海町、馬のことなら日高町と各館が得意とする郷土資料についても触れています」と語る加藤さん。「この本は皆さんのおかげで誕生した本です」と何度も感謝を口にした。
この話の続きは2023年4月29日(土)、紀伊國屋書店札幌本店で開催される『北海道の図書館員が勧めるブックガイド』発売記念トークイベントでお伝えしたい。
書店ナビライターの佐藤優子が聞き手となり、加藤さんにさらに詳しい取材エピソードを語っていただく。
イベントの詳細は紀伊國屋書店札幌本店や中西出版のサイトまで。
【BOOKニュースmini】
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