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第420回 北海道デジタル出版推進協会(HOPPA)セミナー

[イベントレポート]図書館・書店・出版関係者が集結
一般社団法人北海道デジタル出版推進協会(HOPPA)セミナー

[2019.4.1]

市内の出版社22団体が加盟する「HOPPA(ホッパ)」とは?

2019年3月19日、札幌市民交流プラザのSCARTSコートで図書館・出版関係者が集うセミナー「進化する図書館 ~本の話をしよう」が開催された。

主催団体は、一般社団法人北海道デジタル出版推進協会。Hokkaido Digital Publishing Promotion Associationの頭文字を取り、「HOPPA(ホッパ)」と呼ばれる団体だ。

HOPPA設立の経緯は2011年に遡る。札幌市中央図書館が同年から2年間に渡り、約400名の市民モニターを対象に「電子図書館実証実験」に取り組むこととなり、その際に札幌市内の出版社・雑誌社にコンテンツ提供の協力を要請したことがきっかけとなり、2013年6月にHOPPAが設立された。

市内出版社を中心に22団体が加盟し、代表理事は中西出版の林下英二社長。「北海道の地域研究資料、文化・歴史資料、道内出版社・雑誌社の刊行物や地元作家・研究者らの作品、自然や歴史資産を対象とする写真集等の電子化事業」を柱に、北海道から創出するデジタルコンテンツの普及を推進している。

この日、第一部の基調講演には3人のスピーカーが登壇した。
トップバッターは地域政策プランナーであり、一般財団法人北海道開発協会が発行する広報誌「開発こうほう マルシェノルド」編集主幹も務める小磯修二氏。同誌2019年3月号の図書館特集を引き合いに出しながら、道内外の「個性あふれる図書館」事例を紹介した。

●一般財団法人北海道開発協会 広報誌「開発こうほう マルシェノルド」

www.hkk.or.jp

2人目は、セミナータイトルの「進化する図書館」の当事者でもある札幌市図書・情報館の淺野隆夫館長。「貸出しをしない」ユニークさで注目を集める同館だが、「再開発ビルという限られた空間で、通常の図書館が持っているバックヤードがない」環境から「選択と集中」によって生まれた選択肢であったことを明かした。

2018年10月に開館した札幌市図書・情報館は当初、年間30万人利用が目標だったが、予想をはるかに上回る利用率の高さから2019年3月時点ですでに年間100万人を超える見込みだという。

3人目の話し手は、「マルシェノルド」の図書館特集でも紹介されていた滝川市立図書館の事業推進係長であり司書の深村清美さん。
2011年11月に滝川市役所の2階にオープンした同館のキーワードは「連携」。市内の病院作業療法室でのリハビリに、災害対策や恋愛成就、合格祈願などのメッセージが入ったしおりを作る作業もそのひとつ。リハビリ参加者からは「使ってくれる人が想像できるこの作業が一番楽しい」と評価も高く、図書館と病院双方にとってウィン・ウィンの関係が出来上がっている。

札幌市に寄贈するデジタル史料「新札幌市史」を初披露

第二部のパネルディスカッションには、第一部の3人に加えてHOPPAの中西代表理事と、昨年創業30周年を迎えた老舗出版社、亜璃西社の和田由美社長、紀伊國屋書店札幌本店から石堂聡店長が参加した。

「買う人の目線で作る」本づくりを実践してきた亜璃西社の和田社長。

紀伊國屋書店札幌本店の石堂聡店長。「札幌市図書・情報館さんができると知って最寄り書店である当社のオーロラ店は"売上が減るんだろうか?"と身構えていましたが、結果は真逆。売上は伸び、新たなビジネスマン層も獲得できました」

この日「HOPPA(ホッパ)」は、2016年から制作に取りかかってきたデジタル史料『新札幌市史』のテスト画面を初披露(本データは札幌市に寄贈され、2019年度内に公開予定)。
近年、全国的に保管が困難になっている郷土史料のデジタル化は、研究者や利用者にとって待ち望まれるところ。
全国でも珍しい、地域の出版社が一丸となって取り組んだ先例として注目されそうだ。

「本」を扱う同業にもかかわらず図書館や書店、出版関係者が一堂に会する機会は、実はそれほど多くない。今年7月6日に北海道で開催される図書館総合展に伴い、新たな"同業種"交流の輪が盛り上がりつつある。

 

● 一般社団法人北海道デジタル出版推進協会

www.hoppa.or.jp

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