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第520回 BOOKニュース:続報!ヨマサル市2021

本を読んでいるクマのイラストが目印

本を読んでいるクマのイラストが目印、札幌市内4店舗で好評開催中!

[BOOKニュース]
好評開催中!「ヨマサル市2021」
利尻島の一人出版社も初参加

[2021.7.19]

初参加の三省堂書店札幌店は全48社をフルラインナップ!

三省堂棚1

紀伊國屋書店札幌本店、三省堂書店札幌店、北海道大学生協書籍部クラーク店、MARUZEN&ジュンク堂書店札幌店の4店舗で始まったブックフェア「ヨマサル市2021」。

企画は出版社勤務の下郷沙季さん・文平由美さん、今年から参加した山内楓花さんの有志3人。声をかけられた全国48社の出版社が「これぞ!」と思う本を挙げ、北海道弁で言うところの「読まさる」(思わず読んじゃう)本が集まった。

第519回 BOOKニュース:ヨマサル市2021スタート!

www.syoten-navi.com

4店舗中、初参加の書店は札幌ステラプレイス 5階にある三省堂書店札幌店。
「昨年も声をかけてもらっていたんですが、開催時期がちょうど北海道がコロナの影響で特定警戒都道府県に入った時期と重なり、GWの連休を挟んでJRタワーが全面休業に。見送ることしかできず、とても悔しい思いをしたので、今年はその分も楽しもうと参加出版社全社の本を取り寄せました」

そう語るのはヨマサル市担当者の工藤志昇さん。設置場所もエスカレーター横の広々としたスペースを使い、見応えのあるフェアを展開中だ。

三省堂棚2

北海道から沖縄までの48社は一人出版社など個性派出版社が多く、札幌の書店では見たこともない本が多いのだろう、棚に沿ってそのまま平行移動しながら本を手に取るお客が目立った。

平台の分厚い二冊、東京・初台の〈本の読める店〉「fuzkue」店主・阿久津隆の『読書の日記』

平台の分厚い二冊、東京・初台の〈本の読める店〉「fuzkue」店主・阿久津隆の『読書の日記』シリーズ(NUMABOOKS)は持って重さを確かめたくなるボリューム!棚には札幌・亜璃西社のロングセラーが並んでいる。

全国48社中〈最北の出版社〉は、利尻島の一人出版社、淡濱社(あわはましゃ)だ。代表の濱田実里さんは「本の縁」で人生が大きく変わった一人である。
2017年、札幌出身の濱田さんは利尻島地域おこし協力隊に着任。司書の資格を活かして島唯一の図書室で読書推進員として活動するうちに、本を借りにきた現在の夫と出会い、結婚・出産。
協力隊を退任後は個人事業主として淡濱社を起業し、「本が読める出版社」「島のお助け司書」「読書の窓口」を事業の三本柱にしている。

「ヨマサル市」には、自身が初めて制作した葉書サイズのZINE2冊セット、フォトエッセイ『利尻のいろー彩随想―』と随筆集『利尻のいろー彩葉書―』を送り出した。

淡濱社 書籍

三省堂書店の工藤さんは利尻島出身。故郷のことを書いている人はいないかとネットで探し、濱田さんのことを知って取引を申しこんだ。「ヨマサル市」の実行委員にも淡濱社を推薦したという。

『利尻のいろー彩葉書―』

一人旅をした時に感動した利尻島の「青さに導かれて、私はこの島にやってきたのだと思います」(『利尻のいろー彩葉書―』より』

「Twitterのダイレクトメッセージで取引を申し込んだのは書店員歴で初めてのこと。いわゆる観光的な情報ではなく、移住して定住した濱田さんの目線で利尻の魅力を書いている文章がとても新鮮でした」(工藤さん)

「工藤さんからご連絡をいただいた時、"三省堂さんで私の本を?"とビックリしました。工藤さんのおかげで紀伊國屋書店さんにも置いていただくことになりました。このZINEをきっかけに利尻のことを気にとめていただけたらうれしいです」(濱田さん)

【離島で本を◯◯する】淡濱社 あわはましゃ

twitter.com

4社の書店を横断するフェアということは、各店がどう見せるかも見所だ。
北海道大学生協書籍部クラーク店の担当者、片岡真さんは昨年のヨマサル市以降、店内にコーナーを常設化した。
「ヨマサル市は書店員にとっても普段、書店で見かけないものを仕入れできる楽しさがある企画。今年も気になる本が多く、品出しに時間がかかってしまいました」と笑う。

北海道大学生協書籍部クラーク店。

北海道大学生協書籍部クラーク店。限られたスペースで一冊でも多く置きたい!という片岡さんの気概が伝わってくる。

政治や歴史、民族史や人権、地域、多様性など北大生たちにぜひ読んでほしいテーマの本がずらり。

政治や歴史、民族史や人権、地域、多様性など北大生たちにぜひ読んでほしいテーマの本がずらり。

インタビューも掲載しているフリーペーパー

今年のヨマサル市は書店員へのインタビューも掲載しているフリーペーパーを制作。ぜひ持ち帰ってほしい。

紀伊國屋書店は一階入口を入って左側で展開中。

紀伊國屋書店は一階入口を入って左側で展開中。

各店担当者の「ヨマサル本」POP

各店担当者の「ヨマサル本」POPが付いている本にはつい手が伸びる。イラストは実行委員会の新メンバー山内楓花さんが描いた。

書店ナビでも紹介したことがある本

北海道書店ナビでも紹介したことがある本を見つけると、斜めになっている時はそっと直したりしている。

書店ナビライターの佐藤が選んだラインナップ

書店ナビライターの佐藤が選んだラインナップ。『幻のえにし』(弦書房)はヨマサル市でなければ出会わない一冊だったかもしれないと思った。

ヨマサル市 (@yomasaruichi)

twitter.com

●ヨマサル市2021開催書店  ※初参加は★

北海道大学生協書籍部クラーク店/MARUZEN&ジュンク堂書店札幌店/紀伊國屋書店札幌本店/★三省堂書店札幌店
※各店舗のフェア期間は1~2カ月を予定。

●ヨマサル市2021 参加出版社一覧  ※初参加は★

【北海道】亜璃西社/かりん舎/寿郎社/スロウ編集部/内山企画/中西出版/柏艪舎/北海道大学出版会/ミツイパブリッシング/★淡濱社/★ビッグイシューさっぽろ/★北海道新聞社

【宮城】荒蝦夷

【東京】亜紀書房/朝日出版社/アルテスパブリッシング/カンゼン/共和国/クオン/クルミド出版/コトニ社/ころから/左右社/三輪社/新曜社/青弓社/青土社/★早稲田大学出版部/タバブックス/旅と思索社/トランスビュー/中野商店/ナナロク社/NUMABOOKS/ビーナイス/百万年書房/ポット出版/堀之内出版/本の雑誌社/吉川弘文館/雷鳥社/★夏葉社

【大阪】西日本出版社/★どく社

【兵庫】ライツ社

【福岡】★弦書房/★石風社

【沖縄】ボーダーインク

※各店舗のフェア期間は1~2カ月を予定。
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