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第570回 BOOKニュース 2023年3月編

【NEWS01】
4月9日(日)14:00~ 紀伊國屋書店札幌本店【参加無料】 
札幌のキャスター・農業ジャーナリスト林美香子さんの最新刊
『《農都共生ライフ》がひとを変え、地域を変える』トークイベント

札幌のキャスター・農業ジャーナリストの林美香子さんが2023年2月、ライフワークとする「農村と都市の共生」の事例をまとめた編著『《農都共生ライフ》がひとを変え、地域を変える』を出版。
4月9日(日)に紀伊國屋書店札幌本店で出版記念トークイベントが開催される。

《農都共生ライフ》がひとを変え、地域を変える
林美香子編著  寿郎社
コロナ禍で地方での活動が見直されている今、農村への移住やCSA(地域を支える農業)の実際、田舎で稼ぐローカルベンチャーの成功例などを網羅した〈新しい暮らし方〉指南の書。

林さんは、北海道大学農学部出身。STVアナウンサー時代に農業関連の現場を取材し、フリーになってからも「食と農」「グリーンツーリズム」「地域づくり」をテーマに取材や講演活動に取り組んできた。
2003年秋には北海道大学大学院工学院研究科都市環境工学専攻の社会人博士課程に入学し、博士号(工学)を取得。
慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科の特任教授に着任し、フィールドワークを中心にした研究や農都共生ラボの立ち上げなど、活動の幅を広げていった。

「農村と都市の共生」=「農都共生」を掲げた著書も多く、本書はこれまで蓄積してきた知見に加え、2020年以降のコロナ禍で一気に進んだ地方・農村部の変化もカバーしている。
国内外の事例を90ページ近くにわたって紹介している第三章は、「農泊」「移住」「ICT」「温泉宿」等の様々な切り口で構成されており、まちづくり関係者は必読の内容だ。

農都共生ラボ修了生であり、奈良県立大学准教授の村瀬博昭さんも「CSA」(コミュニティ・サポーテッド・アグリカルチャーの略、地域支援型農業)の章を担当し、ほかに自身の教え子たちがのぞんだ奈良県御杖村の産直フレンチレストラン運営の事例を執筆。自治体と大学生双方にとって真に効果の高い交流のあり方を提示する。

3月9日(木)にジョブキタビルで開催された出版記念トークショー。本書に登場する無肥料自然栽培農家「ファーム伊達家」の伊達寛記さんをゲストに迎えて。

林さんは日本各地で進む農都共生ライフを「2023年現在の言葉に置き換えると、世界規模で広がりつつある持続可能な価値観「ウェルビーイングな暮らし」にほかならない」と指摘。
「農村の自然環境と地産地消の美味しい食がもたらす健康と人の心の充足」に都市生活者だけではなく農村住民たちも気づいてほしいとうったえる。

4月9日には、本書で「半農半X(エックス)」を実践するアーティストの一人として紹介されている富良野の画家イマイカツミさんをゲストにトークイベントを開催。
食や農、地域活性やまちづくりに関心がある人には、前に進むためのヒントになる話が聞けそうだ。

林美香子編著『《農都共生ライフ》がひとを変え、地域を変える』
出版記念トークショー

移住・CSA(地域支援型農業)・ ローカルベンチャーの可能性

4月9日(日)14:00~15:30  予約不要・参加無料 ※定員45名
紀伊國屋書店札幌本店1Fインナーガーデン
札幌市中央区北5条西5丁目sapporo55ビル 
電話011-231-2131
主催:寿郎社・農都共生研究会

【NEWS02】
札幌にシェア型本屋さん「ぷらっとBOOK」を作りたい!
「予期せぬ変化が生まれる場所に」現在クラファン準備中

札幌で現在、開店準備を進めているシェア型本屋の話題を聞きつけた。
企画者である星野恵さんは「子どもに関わるすべての人が相互協力し、子育てに優しい社会を目指す」一般社団法人相互支援団体かえりんの代表を務める。
詳しいお話をうかがった。

[創刊情報]20~40代の雑誌作り初心者たちが創刊! 本当に役立つ雪国ファッション誌『Swgスワガー』好評発売中!

www.syoten-navi.com

星野さんがシェア型書店の存在を知ったのは、実家の福岡県に帰省したときのことだという。
県下の糸島市前原(まえばる)商店街にある「糸島の顔がみえる本屋さん」(通称、「糸かお」)は、30cm四方の100棚を100人の棚オーナーが運営するシェア型書店。商店街の交流地点になっている。

糸島の顔か?みえる本屋さん(instagram)

ここを訪れ、「本のラインナップから棚オーナーさんたちのお人柄が伝わってくる不思議な体験をした」という星野さんは、札幌でも同様の空間を作りたいと決意。
「糸かお」の共同運営者から「糸かお」も参考にしたという東京・吉祥寺の「ブックマンション」中西功さんを紹介してもらった。

ブックマンションの棚の利用を検討されている方へ|BOOK CULTURE CLUB(シェア型書店のブックマンション・無人本屋を運営)|note

note.com

「オンラインでお話をうかがったんですが、聞けば店番は棚オーナーの持ち回り制で、それがすごくいいと思いました。書店に関心がある方たちはきっと店番もやってみたいでしょうし、店番をすることで情報発信や集客も自分ごととして受け止めてくださるはず。
私自身、本屋さんへの強烈な憧れがあるというわけではありませんが、本屋さんが少なくなっていく現状に対して寂しい思いはありますし、ほかにもそう思っている方たちが、ただ現状を憂うのではなく自分たちも参画できる手段になりうるというのは、非常に清々しいなと感じました」

書店となる場所は、星野さんが「かえりん」の活動として7年間継続している「おさがり交換会」の保管場所、「ブランチ札幌月寒」の一室(札幌市豊平区月寒東3条11丁目1-24)をそのまま活用する。
名前は「ぷらっとBOOK」に決定した。

棚作り等に必要な資金集めは、現在クラウドファンディングの準備を進めているという。

どんな空間になればいいと思いますか?という質問に星野さんは「本というものだけでどこまでつながることができるのか、壮大な社会実験になるのかなという予感がします」と回答。

「SNS時代になり、誰もが懸命に自分を表現している今、シェア型本屋は棚に本を並べるだけで語らずしてナチュラルな自己表現を可能にする、リアルならではの空間ですよね。
そこを訪れるあらゆる世代の人たちにとって、意図せずして人生の変化や転機が訪れる、そんな場所になれたら面白いと思います」

星野さんが「意図せずして訪れる変化」を期待するのは、「おさがり交換会」で見聞きしてきた長年の経験があるからだ。

「育児をしているお母さんたちに家を出るきっかけを提供したくて始めた『おさがり交換会』ですが、蓋を開けたら『洋服を捨てなくていい』ストレスの軽減になったり、『誰かの役に立てている』という貢献欲求が満たされたりして、参加している方々が予想以上に喜んでくださって、単に『衣料費が浮く』以上の効果を生むことになりました。今度のシェア型本屋でも、こうした予期せぬ展開を私が一番楽しみにしています」

●気になる方は下記のFacebookグループをチェック!

札幌にぷらっとBOOK(シェア型本屋さん)を作りたい!

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